遊星歯車機構

主に三次元

「白い影」の直江先生に逢いたくて逢ってきた。

時折無性に直江先生に逢いたくなることがあって、久しぶりに時間が取れたので「白い影」を全話、番外編も続けてみました。

「白い影」は2001年に放送された中居正広さん主演のドラマです。もう中居さんのドラマで一番好き。味いちもんめも好きだしナニワ金融業も好きなんですが、群を抜いて「白い影」が大好きです。もう中居さん、というよりあれは直江先生。

当時全話まじめに見たかというとそうではなく、最終回付近しか見ていなかったんですがその後の「模倣犯」で完全に中居さんを追っかける準備が完了し、2003年に作られた番外編に関してはビデオに録って何度も何度も見ました。でもほんとここ数年は見てなくて多分8年振りくらいに見ました。懐かしかったし、あの頃ものすごく自分の生活とリンクすることもあって七瀬先生の「生きろ!!」に助けられたなぁと思い出しました。今でもあの「生きろ!!」をきくと泣けるんですけどね。また泣いた。

直江先生ほんと儚い。儚いけど強いなー……あれだけの強さをもって生きられるんだろうか。28歳の中居さんをあんなに綺麗に残してくれてありがとうとしか言いようがない。美しい。私はあのドラマの脚本も映像も演出もとても好きなんですが、うっかりゲスい下心がちょいちょい顔をのぞかせるので、注射器取り出して腕捲ってチューブ装着して注射打つ、までの一連の流れがたとえようもなく淫靡で素晴らしいと思って見てます。エロい。(この一言で美しいドラマを汚してる気がするので大変申し訳ないんですが)

直江先生は色気があるんだよなぁと思って見てます。儚さの中に覗いてる色気。バラエティでは積極的に見せてくれない中居さんの色気がふんだんに盛り込まれてる。でもそれって中居さんが本来持ってるものが滲み出てるというわけで、だからやっぱり何度も言うけど制作陣に感謝しかないです。

直江先生と180度違う、って中居さんは言いますが、意外とそうでもないと思ってます。私が中居さんを「あ、このひととんでもないひとだ」って思った切っ掛けは、インタビューか、うたばんで石橋さんに問われたか、どちらかだったと思うんですがそのあたり覚えてないけど衝撃的過ぎて中居さんの言葉だけは明確に覚えてる言葉があるんですが、「生まれ変わったら何になりたい?」という質問の答え。

彼は「深海の石になりたい」と言ったんです。

すぐに否定していた覚えがあるんですが、余りの衝撃で未だに「なんで中居ちゃん好きなの?」と問われた時に「生まれ変わったら深海の石になりたい、っていうトップアイドルだから」と応えてます。明るい、楽しい、今はもうそれ以外のイメージもいっぱい持ってる方ですが当時はどちらかといえば「天真爛漫」が当てはまる人で、そういう「明るいひと」が次の人生に「深海の石」を選ぶところに闇を見たというか。「ああ、やっぱりアイドルも人間なんだ」と思うのと同時に「このひとは如何程のものを抱えながら人生を過ごしてるんだろう」と物凄く興味を持ったのを覚えています。すぐに否定したところも含めて、優しいひとだなと。言葉の怖さも行動の恐ろしさも全部知ってる人なんだなぁと思いました。自分がどう動けば世論にどう影響を与えるのか、あの時点で「知ってしまってる人」だったんだなぁ……って。(私がこの発言を聴いたのは2002年頃だったと思います)

静かな真っ暗な海の底の石を望む人生って、どういう人生なんだろう。年始にあったSMAPの色々な報道は私は正直、そこまで真正面から信じているわけではありません。あんなの事務所でどうとでも報道できるので。なので別に木村君が悪いと全く思わないし四人が悪いとも思ってません。あれは事務所の不祥事。多分「誰かを悪者にする」のはファン以外の「今までのSMAPの歴史を見ていない人」だと思うのでそういうひとたちには例の件は「いずれ忘れていく、過去の出来事」だと思います。

誰が悪いって、悪い人誰もいないでしょう? というのが個人的な見解です。SMAPの中に悪い人はいない。大抵の「ほころび」は企業の「従業員」ではなく企業の「経営体制」から出てくるものでそんなのはどこの会社も一緒だと思うわけです。人じゃなく経営。だから事務所に関して文句を言いたい箇所を上げるとしたら、「企業内の従業員に経営の責任を取らせて頭を下げさせるのは企業としておかしい」という箇所です。オモテに出てくる人間が違うだろ、と。

 話が逸れましたが、理不尽を理不尽だと解っていて頭を下げられるというのも大人だなぁと思うし抱えるもののストレスレベルはどうなんだろうなぁとか色々、勝手に大変さを感じてしまうんです。けれどきっとそれって中居さんの本意ではないよね、とも思うわけで。中居さんも職業アイドル極めてらっしゃる方なので、アイドルと接する以上は「楽しんでもらいたい」タイプの人間だと思います。 楽しんでもらいたい、というより「楽しませたい」かもしれませんが。とても職業意識が高くて真面目。裏はみせない。一切自分のプライベートをオモテに晒さない。(こういうとこ、木村兄さんも似てると思うんです。指環を嵌めない、とか意識はやっぱりSMAP全員に共通してるところがあるような気がしています。だからこそSMAPが唯一無二のアイドルなんだと思いますが)

果たして、直江先生と180度違うのか、と問われた時に私は「中居さんの中にも直江先生はいる」と思うわけです。中居さんの中にはずっと直江先生がいたとおもう。本人も意識していないところでずっと存在してて、それを引き出したのが「白い影」だったんだと思う。

直江先生は言わない。周囲に自分が多発性骨髄腫を患っていることを隠して仕事を続ける。どれだけ影で苦しんでいても誰にも救いを求めない。ただひたすら「死」の気配を感じながら医療に従事する。

改めて「白い影」を見てやっぱり直江先生は直江先生で、だけど直江先生は中居さんの一部だなと思った。

中居さんは言わない。周囲に自分が「何でくるしんでいるのか」を言葉にしない。隠してしまう。(お父様の死についても同じことが言える気がします)どれだけ影で苦しんでいたとしても、笑顔で仕事をする。ただひたすら「アイドル」を全うしようとする。

中居さんの中にいる直江先生が顔をのぞかせるときに、直江先生が倫子が救いであったようにSMAPのメンバーや彼の周りの優しいひとたちが救いになっていればいいなと、他人でほんとに関係のない人間なのにうっかり願ってしまう時があります。ドラマを見てると直江先生にどうにか幸せになってほしい、ひとりきりだと思わないでほしい。って思います。倫子も、他の登場人物も全員あのドラマって優しい。改めて見て痛感したけれどあのドラマは「悪人」がひとりも出てこない稀有なドラマです。みんなやさしい。

 現実の世界でも、やさしいひとがきっと多いと思いたいです。できれば「悪人」がいないドラマを中居さんには歩んでいってほしい。雪の中で寝転ぶひとりきりの直江先生がいつかの未来で倫子と出会えたように、中居さんにとってのいつかの未来がとても明るいものだったらいいなと思います。

なんでかわかんないんですけど、中居さんて私の中ではほかのジャニーズの子達とちょっと別枠なんですよね。ジャニーズではないとかそういう意味ではなくて、特別なんです。あのひとがいなければジャニーズの歴史は今現在も続く輝かしいものになってなかったんじゃないかっていう、特別。勿論つとぷ大好きなので木村兄さんもアイドルとして凄いと思っているんですが。(たとえばスマスマとかでゲームの対戦するようなときにラストで「こういうとき木村は決める男なんだよ!」って全幅の信頼を置きまくってる中居さんと、ちゃんと成功させちゃう木村兄さんが「二次元かよ……!!!」ってくらい理想的で大好きです。あとはもう言わずもがな学生時代からのあれこれが半端なくかわいい……すごい、二次元の実写化はよ。全米が泣くくらいの歴史がここにあるよ!!)

なので中居さんにしあわせになって貰いたいんです。ってなにを言っとんのじゃと自分でも思いますが、あの人はしあわせを享受しなきゃいけないひとだと思ってます。

直江先生に会って改めてそう思いました。結婚しろとか子供作れとかそういうことを言いたいわけでは無くて、ただ、あのひとが思う様に、自由に、仕事ができているといいなぁとそう思います。

直江先生が「納得する死に方」をいかりや長介さんに物言わずして諭していくシーンがあるんですが、納得する死に方、を得るには「納得する生き方」も必要なんだと思うと生きていくのもしんどいな、と思ったりします。自分に正直に生きるのは難しいし自分のやりたいことを好きなようにやることができる人生も難しい。我慢と妥協と惰性の中で今、自分が生きていることを直江先生を見ていると少々、恥ずかしく思います。けれども大抵の人はそういう我慢と妥協と惰性の上に成り立つ日常を送っているのだろうし、大なり小なりアイドルにだってそういった類の者は日常に潜んでいるんじゃないかなとも思ったりするのです。直江先生のように生きるのは難しい。「生きる」ってことはどういうことなのかとか「死に方」とはどう選べばいいのか、とかきっとこのドラマは見る年代によっても見方や考え方が変わるドラマだと思います。また40代を迎えたら改めて見たい。

私はあのドラマで直江先生の師である七瀬先生がとても好きで。七瀬先生は見送るばかりのひとで、多分一番傷ついて一番優しいひとだろうなとも思います、ドラマの中で。妻に先立たれて息子同然に可愛がっていた直江先生にも先立たれてしまうのだから。見送るばかりのひと、というのは切ないなぁと思います。 でもどんどん人に優しくなれるんだろうなあとも思う。かなしいひとがやさしいひと、を体現してるかのような人物だと思います。

七瀬先生も、中居さんのどっかにいる気がするんですよね。私は中居さんを聖人君子だと崇め奉りたいわけではなく一個の人間としてその人生に抱えているものに興味があってそれでいて幸せになってもらいたいと思ってるんですが、中居さんもかなしくてやさしいひとだと思うんです。七瀬先生のような「見送るばかりのひと」の気配を感じる。

だから海の底の石を夢想するのかな、と。

「白い影」の直江先生の色気と儚さと刹那的な生き方は中居さんのどっかに潜んでるように思います。ただひとつ違うことがあるとすれば、直江先生のような最期をきっと中居さんが選ばないこと。だから中居さんの中に直江先生はいるけれど、直江先生よりもっと強いひとだと思ってます。中居さんが死生観を先日語っていましたが、やっぱりちょっと似てるなって思いました。直江先生と。

これまではステージで、って思ってたけど迷惑かけるから孤独死でいい、って言っちゃえる強さがまた、中居さんらしいというか。

七瀬先生が直江先生が乗った夜行バスに向かって「生きろ!!」と声をかけたように、私は彼に楽しく人生を過ごしてもらいたい。直江先生の生き方のように我を通してもらいたい。SMAPは彼らの思うように動かしてくれていい。中居さんの人生が「中居さんの人生」として存在してくれればいい。そこに(彼らにとっての)無用な他人は介在しなくていい。そう思ってます。

久しぶりに逢った直江先生はうつくしかったです。中居さんの片鱗を垣間見れた気持ちになります。勝手に(笑)

という白い影の感想日記でした。