遊星歯車機構

主に三次元

森田剛の純然たる無垢について

ヒメアノ~ル、すごく楽しみにしていたので早速見てきました。

ネタバレありですので今からご覧になられる方は読まないでやってください。絶対なんにも頭に入れていかずにまっさらの状態で見たほうがいいから!!

というわけで見てきました。久しぶりの邦画!!

私以前いつ映画館に足を運んだよ??と考えてみても思い出せるのは「群盗」(韓国映画)くらいしか……映画館レイトショーが高くなっちゃってからほんと足運んでないなぁ。とはいえ洋画をほとんどみないので(たぶん最後に見た洋画って「インセプション」だとおもう。いつだよ、6年前かよ)見ると言ったら韓国映画か邦画なんですけど。韓国映画も恋愛ものほとんど見ずにえげつないのばっかり見てるので「韓国映画好き」っつっても周りの人の見てる韓国映画と話が合わないことが多々あります。

あ、剛くんも雑誌のインタビューで「韓国映画見てる」って言っててイヤッホーイと思いました。うれしい。小栗旬くんもこないだどっかのインタビューで言ってた! 韓国映画ってなんか韓国ドラマの影響で「え? なんかハーレクインみたいな?」「王朝もの?」「恋愛至上主義的な?」とか言われますが、バイオレンスとサスペンスとアクションとホラーに関してはほんと素晴らしいと思います。(韓国映画は韓国のエンタメ界で「韓流の最大の失敗」と呼ばれてたりするんですが、あの国はもったいないです。見る目がない。韓流スターやアイドルを各国に流出するよりも韓国映画に力を入れて諸外国に流出させたほうがよっぽど長い目で好かれたと思います。なにせすごい。えげつない。ヒドい。3拍子そろって素晴らしいですよ、韓国映画は。ちなみにSMAPの草なぎくんが尊敬するソン・ガンホさんはまじですごい。すごすぎて言葉が出ない。草なぎくんが紹介してくれなかったら私一生韓国映画に手を伸ばすことなかっただろうからほんとうに感謝してる)邦画であのえげつなさ(まず韓国映画は人の殺し方がえげつない)って出せないだろうなと思ってたので、今回ほんとに楽しみにしてました!!

余談が長い。

ヒメアノ~ル ;強者の餌となる弱者

という造語だそうです。とりあえず剛くんがよくわかんないけどいっぱい人を殺す映画らしい、というものすっごいアバウトな前情報で見てきました。原作の古谷実さんの「ヒメアノ~ル」は読んでないんですが、映画見たあとに本屋でちらっと見てきたら、結末が少し違うんですね。また漫画のほうも読んでみたいです。そして今後悔してるんですけど、パンフ買い忘れたんですよね~あー今度また買いに行ってこよう。ムロさんのインタビューが読みたい。ムロさん癒しだった。かわいい。

そんなわけで見てきたんですが、最初、「助長……?」と思った導入部分もOPの題字が出てきた瞬間にぞわああっとして最高に良かったです。いい。あのラブコメみたいなのがあるからいいんだ、剛くんの底知れない狂気が輝きすぎてる!! と納得でした。というかOPすごい良い。いい。よすぎ。あそこまで見るまで題字出てなかったの気づかなかったけどカメラの角度最高に良いです。あれだけで写真集作れるってくらいあの一枚写真みたいなOP大好き。曲がまた良すぎ。なんだよ、期待していいってことかよ! ラブコメまだ続くの? って思ったけど期待していーんだな? よしこーい。みたいなそんな高揚感でした。

映画全体のなにがいいって、森田(剛くんの役名。もうね、役名が森田って時点で最高なわけですよ。そんで「岡田殺す」とか言ってんですよ、なにそれ? 三宅くんいないの?? 探すよ?? 最高すぎる)の心境を露骨に描写しないところ。「このひとわけわかんないけど息をするように人殺してく」っていうあの狂気は理由を説明されたりやたらと心情描写があったらそれはもう「人間」になっちゃうんですよ。だから無くていい。あれは岡田君(岳くんの役名)が言うように「人間じゃない」んですから。邦画の良いところって心情描写が丁寧なところだと思うんですが、この映画に限っては無いほうがいいなぁと思っていたところ、余計なところで心情描写が一切ないところがよかったです。

そんな狂気の森田君ですが、殺すだけならそこまでえげつなくないと思うのです。十三人の刺客の吾郎ちゃんも相当な狂人でしたが、私の中であの映画の吾郎ちゃんは「品のある狂人」なのです。ついでに狂人というか殺人者でいうなら脳男の斗真くんもすんごい好きだったんですがあれも「理知的な狂人」だと思うわけです。どこかきれい。ふたりともどこか「綺麗」なところがあったように思います。

それが今回、「綺麗」を通り越して「無垢」までいっちゃったのが森田くんだなと。殺し方がまずえげつないんですよ。見目をきれいに殺すっていうのも変な話ですが、邦画ってそういうところとてもきれいに描くので、あんましザシュザシュ突き刺さる刃の間隔とか、拘束とか暴力とかの描写を見かけない。その点韓国映画って殺し方がまず卑劣なことが多いのでなんていうのか、下品な殺し方の描写が多いんです。あんまし殺す殺す書いてて大丈夫かこの日記。みたいなことになってますが……いやまぁ殺し方に品格があるのか否か、なんていうのは倫理の問題から言っておかしな話なんですが、ただでも、そういうのって映画の中にはあると思うんです。

例えばさすがに殺してから小便かけるとか殺してからヤるとかそういうのは描写しないじゃないですか、邦画は。私が知らないだけであるのかもしんないですが。森田君の殺し方がきれいじゃない、というところがよかったです。邦画もこういう描写していいんだ、みたいな驚き。R15は確かに殺人シーンがえぐいってこともあるんでしょうけど、個人的には「ジャニーズに自慰行為シーンやらせる」っていうことに驚きだったのでそっちも含め、なんだろな。あ、ラブコメシーンのアレもあかんか。

そう、でついでだから書いちゃうけど自慰シーン。イジメのほうは心が痛むんですけど一番最初の殺人のときに森田君さらっと流されてたけどそういうシーンあったよね?? と思うとやっぱりいいようのない「奇妙さ」と理解できない「狂人感」(嫌悪にも近い)があのシーンだけで際立ってたから挿入されてて良いと思うんですが、ジャニーズであれやれるのって他にいないんじゃないかと思いました。すごい。役者としてすごい。

 森田君のきれいじゃない殺し方は下品なのに、「とりあえず邪魔だし」って感じで殺してくのを見てるとなんか「無垢」も感じるんですよ。もうわけわからん。下品でえげつないのに無垢とか、ほんとにどうかしとる。なんだこれ。って思いながら見てました。拳銃取り上げて使うとこもそうですね。いや。ふつうだったらさ、拳銃使って岡田君殺すために銃弾5発しかないんだからとっとこう、って思わない?(ニューナンブはリボルバー式なので5発しか弾が入らん)なのに「包丁で刺すより楽」だからって適当に次の殺人で使っちゃってるとこがポリシーがなくて素晴らしいなと思う。森田君をよく表してるなぁと。岡田君のときまで大事にとっておかないんだ! 使っちゃうんだ! みたいな。殺人が睡眠やら食事と同じになってる感がある。そういうとこがとても雑だというのにあんまりにも雑すぎて逆に無垢に見えてくるという。無垢っていうよりももしかして「透明」とか言葉悪くしたら「スッカラカン」みたいな感じなのかもしれないです。ただ、美しくない。どこか地を這う虫のような、そんな強かさがある。

そしてその「無垢」が「形」として姿を現したのはラストだなぁと。

ラストシーン見てうっかり泣きました。正直あのラスト持ってこられるなんて想像もしてなかったのでびっくりしたというか、ラストのひとつ手前。

車の中でのあの言葉。あの言葉ひとつでぞわあああっと鳥肌が立ちました。

血みどろの中の、ひとつのセリフでここまで人の心を動かすかってくらい無垢でおそろしいセリフでした。すごい。あれだけで見る価値ある。ほんとにそう思った。

あの剛くんの声。なんていうのか、狂気じゃなくて純真無垢なんですよ。あれだけ殺しといてなんにも知らない幼い子みたいな声なのよ、ぞわあああっとすると共になんかものすごいさみしいのと悲しいのが一緒に押し寄せてきて「この子、幸せになってもよかった子だったのに」みたいな悔恨を覚えたような気持ちになりました。

それまでひとっつも共感できない人間に繋がる緒を見つけたかのような。たぶん邂逅だったんだとおもう。あの車内での過去の姿の森田くんは「ふつうのにんげん」だったんだっていう邂逅。

とんでもねーなと思いました。

これまで、えげつない映画いっぱい見てきましたが邦画って綺麗に取り繕ってるところがあるなぁとずっと思ってて。だけどそれが邦画の良さなわけであって。

韓国映画のえげつなさっていうのはえぐい、グロい、救いがない。みたいなところがあってみてて「ま、まだやんのかよ……」みたいな気持ちにさせられるんですがそれでも兎角勢いがすごいんです。呑まれるくらいのスピード。

そういうものを見た気がしました。ひたっすら森田君のスピードにのまれて、最後に魅せられたのがあの人の中にあった「無垢」だとしたらもう泣くしかねぇな。と。

ずるい。邦画ずるいわ。そう思いました。

郷愁すら感じるあのシーンはずるい。でもあれがあるから韓国映画との差別化が図れている気もします。暴力だけにとどまらない、なにか。日本人的だなぁと思いながら、見終えたのでありました。

ムロさんが優しすぎたので彼に幸あれ!!と思ってます。やさしい。

あー邦画も、っていうかジャニーズもここまでやれる人がいるんだなと思うと、すごいなぁ。私すごい時代に生きててラッキーだったなぁとしみじみと思いました。やっぱり森田剛はすごい。

私、剛君の舞台はIZOから見てまして。荒神はチケット取れなかったんですがすんごい好評で。そもそも彼は荒神の前までは「舞台はやりたくない」と言っていた人だったので(苦手だったそうです。なんかやだ、って言ってた覚えがある)劇団新感線の舞台が決まったときに「どうなるのかなぁ」と思ってたらすっかりハマったようで、最初の出会いが新感線だったから尚よかったんだろうなぁと思っています。なので次にやるときは絶対見に行きたい! っつってIZOを見に行きました。

今思うとあの時も幼児性のある主人公だったんですよね。でもあの時から目が離せない役者でした。その次に見たのが今は亡き蜷川監督の「血は立ったまま眠っている」それから亜門先生の「金閣寺」。金閣寺の演出が好きすぎてあれ通えるんだったら何度も通いたかったな……なので舞台での彼のすごさというのは知ってたんですが、映画はもっといろんな人に届くと思うのでそれはとてもうれしいです。あの人は幼児性を秘めた狂気を表現するのがとてもうまい。「無邪気」というよりは「からっぽ」にも通じる「無垢」のほうが似合うひとだと思っています。

IZOのパンフレットに「私への往復書簡」いうのが載っているんです。

過去の自分より

僕は今、14歳です。毎日、埼玉から東京へ片道1時間40分もかかって電車通勤をしています。朝は通勤ラッシュだし、帰りは深夜の終電です。忙しいサラリーマンのような生活だけど、遊びたいとは思わないのが自分でも不思議です。それだけ魅力的な世界が目の前に広がっているのだと思います。ずっと、この道を歩いて行けるのでしょうか? それと、僕はどんな大人になっていますか?

14歳のときにサラリーマンみたいな生活してくれてた剛くんがいるから、今日ヒメアノ~ルが見られたんだなと思うと感慨深いです。ありがとうと言いたい。すごい大人になってるよ! ジャニーズのタブーをいい意味でこれからもばっさばっさと切り開いていってほしいです。

今日テレビナビのV6のインタビューも読んでたんですけど、岡田くんがさらっと「剛君は天才」って言っててそう言えてしまうのもすごい関係性だなと思いました。天才かぁ。天才なんだろうなぁ。それくらいの勢いのある映画でした。彼の中にある純然たる無垢がこれからも大きく花開くことを願っています。

あーもー最高だよ森田剛!!!!

久しぶりの映画はえげつなくて郷愁的ですごく楽しかったです!!!!

 

 

そんなわけで私はインタビューで言ってた剛くんが見てる韓国映画が気になって仕方ない。どれだ!! 見たい!!!一緒のやつ見たい!!!でもどれかわからん!!

ヒメアノ~ル見て「こういうの好き!」と思われた方いらっしゃいましたら是非韓国映画も見てみてください。(脳男や十三人の刺客をすすめろや。いや、こっちもオススメだけども!!)

日本の漫画が原作の韓国映画もあるんですよ~(意外と日本のミステリの映画化は韓国でされてたりします)そんなわけでついでなのでオススメ映画も書いておきます。

オールド・ボーイ

土屋ガロンさんと嶺岸信明さんの漫画「ルーズ戦記・オールドボーイ」を映画化したものです。2003年に韓国で映画化されてるんですが、オチが秀逸というか、えげつないというか……15年監禁されたおっさんが「なぜ監禁されたか」を探る5日間の話になります。韓国映画特有のドロっとした薄暗さとおっさんの演技が素晴らしいです。(おっさん、チェ・ミンシクという方なんですがこの方の出てる映画は結構えぐいのが多いので楽しいです)すごく出来の良い映画なのでハリウッドでもリメイクされてます。

「チェイサー」

すごい映画っていうか、怖い。レオ様がリメイク権持ってるんですが「わかる!! ほしくなるよね!!」と同意してしまうほどとんでもない映画。こういうの見ると「かなわね~韓国映画にゃ敵わないよ!!」と結構真面目に思います。ハ・ジョンウという方がとんでもない役やってるんですが(この映画をきっかけに今じゃ売れっ子ですよ、ジョンウ様)怖い。ただひたすら怖い。そこまでやるか??ってくらい怖い。怖いけどもう一回くらい見たい。と思わせる妙な映画です。恐怖に手に汗握る、というのが誇張ではない映画。デリバリーヘルスの元締めの元刑事が、ヘルス嬢が次々と消えていなくなるので高額な手付金を取り戻さないと埒が明かん、と捜索を始めるんですがそのときヘルス嬢ミジンから電話があり......という話。壮絶。私今でもごちゃっとした坂道に車停まってるとこのシーン思い出してちょっと怖いです。なにがすごいって実際にあった事件をモチーフとして話し組み立ててるところ。

「悪魔を見た」

いや、全然オススメはしない(笑)私が過去見た韓国映画の中でえげつなさナンバー1だった映画です。とにかく殺す。とんでもなく殺す。見てるとだんだん気分が悪くなります。でもなぜかこの映画ふふっと笑えるところがあって「なにを狙ってるんだこの監督は??」と妙な気持になります。しっかしまーこれほどえげつない映画ねぇだろ、てくらいグロいしえげつないし血ぃどばーっと出ます。しんどい。この映画なにが興味深いかというとイ・ビョンホン様が主演なんですよ。「はーらーだたいぞうです!」でおなじみの原田泰造さんとよく似ている韓流スターのビョンホン様が出演されてるんですけど、ビョンホンファンのおばさま方がこの映画見たら失神するんじゃ?? てくらいえげつないです。でもスターがこういうのやっちゃえるのっていいな。と思ってたのでその意味で今回ヒメアノ~ルは私の積年の夢が叶った映画でもあります。

あとは「殺人の追憶」や「復讐者に憐れみを」、「アジョシ」「高地戦」「母なる証明」とかまぁいっぱいあります。ほんとにわたしが見て!とお勧めしたいのは「義兄弟」なんですけどこれはそのうちエントリ別に書きたいからやめときます。

うっかり韓国映画の話いっぱい書いてしまった。でも映画やってる方のインタビュー読んでると意外と韓国映画見てる役者さん多いのでやっぱり面白いんだろうなーと。そして確かに役者から見たらああいうのやってみたいんだろうなぁとは思う。

 

とりあえずもっかい映画館行ってパンフ買って堪能しようと思います!

そんでもってヒメアノ~ル見たV6全員の感想が聞きたいよー!!!!!!